ラップ嫌いでもわかる、エミネムの素晴らしさ

J.Stone J.Stone

今回はラップ嫌いでもわかる、エミネムの凄さ・素晴らしさをご紹介。
ロック・ジャズファンの私が、外側から観た視点で紐解いていきます。

ラップ嫌いでもわかる、エミネムの素晴らしさ

皆さんはエミネムというアーティストをご存知でしょうか?
そう、彼はラッパーです。
ラッパーというとダボダボな服を着た黒人のイメージが湧くと思いますが、彼は珍しい白人ラッパー。
当時、ラッパー=黒人という概念をぶち壊したラップ界の革命児でもあったのです。

さて、今回のテーマですが、「ラップ嫌いでもわかる、エミネムの素晴らしさ」
実はわたくし筆者は、ラップミュージックを聴きません。
というか、どちらかと言えばラップ嫌いの側の人間です。
ラップ嫌いな人の見解としては……チャラい、怖い、貶し合ってるだけで不快、聴き取れない、YO!YO!しかわからない、そもそも演奏が主体じゃない、ギターソロないの?……etc
ラップファンがこれを読めばディスっているようにしか聞こえないでしょう。

しかし、そんなラップに興味すらない私にですら素晴らしさを理解させてしまう…
それが、”エミネム”なのです。
今回はそんな私がエミネムが何故素晴らしいかを、外側から見た視点で語っていこうかと思います。
ラップファンの方も、普段聴かない方々もお付き合いいただければ幸いです。

※尚、上記から分かるようにラップの知識が全くありませんので、色々間違っていてもご了承ください。

何故エミネムの素晴らしいのか

リズム感が半端ない

ラップも音楽の1つでありますから、当然リズムがあるわけです。
音楽の中でリズムとは世界共通語の様なものであり、
私的な意見ですが、音楽の良さ=リズムの心地よさだと思っています。
エミネムはそんな心地よいリズムのアーティストだと思います。

プログレやジャズを普段聴いている私は、細かなフィルが多いほうがより流れるようにリズムに乗ることが出来るのですが、彼はラップでそれをやっているような気がしてなりません。
彼の歌には全てにおいてリズム的な強弱があり、全て拍を踏んでいるのです。
これにより、あたかもボイスパーカッション…ドラムを聴いているかのような感覚に陥ります。

このリズムを意識した歌い方、プロならだれでもやっているようで実はほとんどが出来ていない気がします。
ラップの大半も歌詞ばかりが先行していてこのリズムが置き去りになっている感が否めませんが、エミネムは歌詞とリズムを両立させてしまっている点が、ジャンルの境界を超える一線になっているのでしょう。
エミネムはリズムを支配し、場の空気すら支配しているように感じます。
細かい事は次の項目で語っていきます。

韻の踏み方が絶妙

エミネムは歌の組み立て方が素晴らしい!
組み立て方というと無機質な感じがしてしまいますが、要は歌詞の部分です。
ラップは基本的に歌詞で韻を踏んでいくと思うのですが、エミネムの歌詞はその韻の踏み方がむちゃくちゃ細かいのです。
これが先ほど言ったドラムを聴いているような感覚に陥る要因ではないでしょうか。

たとえば、代表曲「Lose Yourself」を例にしましょう。
大抵のラップは1フレーズの語尾だけを同じ音で合わせるように歌詞を作っていると思いますが、彼のラップには中間の母音の部分で韻を踏んでいたりするのです。
ドラム音に例えるならば…「ツ ツ ン タン ・ ツ ツ ツ タタッ」のような8ビート、16ビートをイメージしていただければわかりやすいでしょう。

しかもサビに近づくにつれ、韻を踏む数を増やすことで、観客のボルテージを煽っていく…。
このドラム的な歌詞づくりをほぼ全ての楽曲で行っているのです。
更にこれを即興のラップでも行ってしまうのです。

最近話題になった、エミネムがトランプ大統領をディスったラップ。
上記の韻・リズムを意識して聞くと、全部がそうなっている事が分かると思います。

なんだこのモダンジャズ・ビバップの様な組み立て方は!
まるでラップ界のチャーリー・パーカーじゃないか!

こんな細かい事をするラッパーは恐らくいません。
歌の部分をドラムに置き換えても全く違和感なくドラムトラックになってしまうようなラップをするのがエミネムなのです。

このドラム的歌作りについて、ミュージシャン視点からよりわかりやすく解説している方がいらっしゃったのでご紹介しておきます。

早口が凄い

ラップに興味あるないにかかわらず、早口言葉は非常に難しいものです。
彼は歌の中で早口を連発し、まるで速弾きギターで客を沸かすような勢いを見せつけます。
単純に凄い技術です。

ダーク路線な曲が多い

エミネムは壮絶な生い立ちで有名で、自伝映画『8 Mile』にもなっているほど。
その影響なのか、割と暗めな曲が多い印象を感じます。
ラッパーなのに意気っている感じがあまりせず、どの曲もどこか悲しげなメロディが…。

ロックファンの私としては、ナインインチネイルズの様な雰囲気を感じます。
また、サスペンス系映画のサントラの様なバックサウンドから、そういった感じのエレクトロ系音楽の面も持ち合わせているように感じます。
インダストリアルロックや、映画音楽の様な感覚で聴けるというのがまたちょっと変わった点だなと思います。
ラップというイメージとはどこかかけ離れた感じが、逆にジャンルの壁を超えるのかもしれません。

是非一度エミネムを聴いてみてはいかがでしょうか?

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