ゲーム制作で必要な作業量と流れ
ゲーム制作で必要となる作業量はどれぐらい膨大なのでしょうか?今回はゲーム制作の流れに沿って必要な作業をリストアップして紹介していきます。
ゲーム制作で必要となる作業の流れ
ゲーム制作をすると簡単に言ってはみたものの、冷静に考えれば作業量は膨大です。
ではゲーム制作にはどんな作業が待っているのでしょうか。
ここでは、ゲーム制作に必要な作業を、作り始めから完成までをリストアップして紹介します。
尚、ココで紹介する内容はインディーズゲーム制作・個人製作での工程になります。
企業に所属して作る場合には、これ以外にも様々な工程ややり取りが必要になりますが、今回は省略させてもらいます。
1.企画書・仕様書を作る
ゲームを作り始める前に企画書や仕様書を作ります。
いきなりゲームを作っても方向性はバラバラになるし、スケジュールも考えずに作ってしまい、完成とは程遠くなってしまいます。
まずはゲームのジャンルや方向性、どんなシステムでどんな舞台、どんなキャラクターを使うかなどを考えていきます。
製作ソフト・制作エンジンもどんなものを使えば良いのか、2Dなのか3Dなのかも決めていきましょう。
この作業はテキストベースでも紙ベースでも構いません。
書き方も自由です。人に見せないのであれば、自分が分かれば構いません。
仕様書では計算式からキャラクターのステータス、アイテムの内容、マップの内容まで事細かく作っていきます。
マップや世界地図のスケッチなども書いておくと、後々マップを作る際に役立ちます。
仕様書の時点で誰かにフィードバックを貰うなどすると、完成後に不満にならなかったり修正ラッシュにならずに済むので、誰かに見せておくとよいでしょう。
3Dゲームやより綿密な掘り下げを行う場合には、「イメージボード」を作る事が必要になります。
イメージボードは、名前の通りイメージをビジュアル化したものを作る作業です。
実際のゲーム画面がどんなイメージになるのかを視覚的にすることで、作業時の負担を大幅に軽減する目的があります。
UIの位置、視点、カメラワークなどがここから分かるようになります。
2.シナリオを書く
次にシナリオを書きます。
企画書や仕様書の内容に沿ってシナリオを作っていきます。
ゲームを作り始める前にシナリオを既に用意している場合には、ゲーム内容に合わせてシナリオに変更を加えたりしていきます。
3.製作ソフトに慣れる
企画書や仕様書で使うと決めた製作ソフトを実際に使って慣れていきます。
購入していない場合にはソフトの購入もしましょう。既にソフトに慣れている場合は省略します。
4.データベースを作る
いよいよゲーム自体の製作に着手します。まずはゲームのデータベースを作ります。
『最初に絵を描くんじゃないの!?』と思うかもしれませんが、データベースを作っておかないとゲーム作りの際に都度作らねばならず面倒です。
仕様書が既にありますので、そこに記載されているキャラクターのステータスなどのデータ部分を打ち込んでいきます。
RPGなどのバトル系ゲームでは戦闘計算式や成長グラフなども作る必要がある為、プログラム部分にも手を加えます。
ゲームに必要なアドオン・スクリプト素材などを入れ込み、ゲームシステムのおおよそを作り上げておくのもデータベース作業時に行います。
ゲームシステムなくしてゲームは作れません。しばらくは文字とのにらめっこが続きますが、データベースを先に仕上げておくと後の作業が楽になるのです。
5.テストマップを作る
次にテストマップを作ります。デバッグエリアとも呼ぶかもしれません。ここではメインマップはまだ作りません。
名前の通り様々なテストを行うためのマップです。実装したシステムやアクションの動作テストをしたり、データベースで作った内容が実際に反映されているかなどを確認します。
テスト用なのでマップの見た目はキャラクターが動かせたり、イベントやアクションが進行すれば何だって構いません。アセットを引っ張ってきて作っても良いでしょう。
6.グラフィックを用意する
いよいよゲームに必要なグラフィックを用意します。
グラフィックとはキャラクター・モンスター・アイテム画像・背景・マップ画像・3Dモデル・テクスチャ等を差します。
用意する量は仕様書やデータベースに登録した量に寄ります。
実際に自分で作るのか、アセットや素材を使うのかなどは分かりませんが、何かしらの方法で必要な分を全て用意しましょう。
グラフィックを用意するには、素材やアセットを使う・自分で描く・外注で作ってもらうの3パターンが考えられます。
素材であれば無料で使える場合もありますが、イメージには限りがあります。
オリジナリティを追求するのであれば自分で描きたいところですし、個人製作で行う場合には大抵皆ここを自分で作りたい思いますが、作業に慣れていないと全て一人で行うには相当大変です。覚悟しましょう。
外注であればオリジナリティもクオリティも維持できますが、コストがかかります。
できれば自分で作りたい思う事が大半だと思いますが、作業量が多すぎる場合には素材やアセットを使う事も視野に入れましょう。
7.効果音を用意する
ゲームで使う効果音・SEを用意します。
効果音を用意する方法は、アセットや素材を使う・自分で録音する・外注で作ってもらうの3パターン。
素材の場合には無料素材を使えばコストはかかりませんが、質のよい素材は有料である場合が大半です。
作風に合わない場合には自分で録音するのも手ですが、録音環境がなかったり編集作業が出来ないと綺麗な音に仕上がりません。
外注作業は自分の作風にピッタリなサウンドをプロのクリエイターに作ってもらえますが、当然コストがかかります。
8.音楽を用意する
次に音楽を用意します。
音楽はゲームを印象付ける大きなポイントですので、できれば手を抜きたくないものです。
用意するには、素材やアセットを使う・自分で作曲する・外注で作ってもらうの3パターンあります。
素材やアセットを使えば無料で使えるものもありますが、別の作品と曲被りが発生してしまったりといった事も起こります。
よりオリジナリティを追求するのであれば自分で作曲するかプロの作曲家に外注するという手もありますが、前者では作曲スキルやミックス作業が出来ないと良いBGMに仕上がりませんし、後者ではコストがかかります。予算と相談しましょう。
9.マップ・ステージを作る
素材が全て揃ったらいよいよマップやステージを作っていきます。仕様書に沿ってマップやステージをエディタ等でデザインしていきます。
マップを作ったら当たり判定のテストなどを必ずするようにしましょう。
10.イベントを盛り込む
マップを一通り作り終えたらイベントを配置していきます。
RPGの場合や村人やクエスト等、アクションゲームの場合は敵キャラクターやNPCなどをひたすら配置していきます。
もしこの時、必要なマップが足りないと分かったらその都度修正したり、マップを追加したりします。
イベントを丁寧に作り込む余力を残しておく為には、素材を準備するエネルギーとの配分を考えましょう。
絵に全力を注いでしまった結果、イベントを1つも作れず企画を潰してしまった駆け出しゲームクリエイターは数知れず。この作業を切り抜けられたら自分を褒めてあげましょう。
11.テストプレイをする
イベントを一通り配置し終わったら、この時点で結構遊べるゲームに仕上がっているはずです。
いよいよテストプレイをしていきましょう。この時間が一番楽しいです。
最初から最後まで通しでプレイしながら、大まかなチェックを行いましょう。
第一回目は特に通行判定や当たり判定のテストは行いません。遊ぶ中で見つけた不具合やバランス調整を主にチェックしていきましょう。
できればプレイしながら、チェックリストを作っていくと見落としが減ります。
12.デバッグリストを作り、それを元に修正作業を行う
通しのテストプレイが終わったらデバッグリストを作り、それを元に修正作業を進めます。
ここからはひたすら調整の作業となります。
13.テストとデバッグを繰り返す
上記の修正作業が終わったら、確認の為に更にテストを行います。
ここからは当たり判定や通行判定など細かなゲーム体験部分にも注目して細かくチェックします。
スタックしないか、ランダムイベントが全て正常に作動するか、終了したイベントが再度走っていないかなど動作部分に渡るまで多岐にわたります。
14.テストプレイヤーを募集し調整データを取る
大体の作業が終わり、いよいよ完成目前となったらいよいよ外部のテストプレイヤーを招いてテストプレイを行います。
募集はネットや知り合いなどを通して行い、テストでは最終調整用のデータを取ります。
この仕上がりや感想に合わせて最終調整をします。
ここで重大な問題が発覚したり、ゲームの根幹部分に不満点が続出した場合は、テストとデバッグを1からやり直したり、最悪大幅な作り直しになる事があります。
そうならない為にも、仕様書を入念に作り込んで置き、仕様書の時点で予め第三者のチェックを貰っておくことが大事なのです。
ちなみに、第三者を交えたテストプレイはα版とβ版で2回行う事も出来ます。こちらはゲームのボリュームやスタイルに合わせて決めていきましょう。
最近ではアーリーアクセスという制度も使え、α版、β版を有料で提供してフィードバックを得るという手法もあります。
膨大な時間のかかるインディゲームではアーリーアクセスを使うのも手でしょう。
15.仕上げる
第三者を交えたテストプレイが終わったら、チェックリストを元に最終調整に入ります。
細かな部分、ユーザーにより快適に遊んでもらえるように微調整を加えたり、ストーリーをより分かりやすく伝えたり、説明不足な部分を細くしたりなど、ユーザーに沿った調整を行います。
16.公開・マスターアップ
調整が終わったらとうとう完成です。マスターアップとなります。
あとはネット上に公開するなり、販売サイトに登録するなりして、出来上がった作品を世の中に見せつけてやりましょう!
ここまでたどり着いた方は、その日最高にうまいメシが食えるでしょう。お疲れさまでした!
まとめ
以上がゲーム製作に必要な作業の流れとその作業量になります。
改めて文字にすると恐ろしく膨大な作業であることが分かります。
ゲームのボリュームにも寄りますが、この作業を数年単位で行うのがゲーム制作です。
この作業量を万が一1人でこなすには、数年間ロングランで走り切る体力とモチベーション維持が何より大切です。
その為には企画書・仕様書で自分が作れる内容且つ具体性を持った計画を作っておくことが大切。
漠然と作る事は企画をぽしゃる原因になるので、膨大な作業量を見越した計画を持って行動しましょう。
以上となります。
では、次の講座でお会いしましょう!
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