BladeRunner

サルでもわかるブレードランナー~難解映画を紐解こう!~

J.Stone J.Stone

どうも、ブレードランナーを見た回数100回以上の筆者です。 難解と言われる映画や作品は少なからず存在しますが、 今回は難解SF、カルトSFと謳われるブレードランナーの物語を簡単に紐解いていきます。

ブレードランナーとは?

ブレードランナーは、フィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作とし、
監督リドリー・スコットにより映画化、1982年に公開されました。

スターウォーズのハリソン・フォードが主演を務めるも、冒険活劇的展開を求めてきた客からは難解のレッテルを張られ、公開当時は商業的に失敗。
しかし、後になるほど再評価されていき、時代を先取りしたかのような圧倒的な映像美で魅せるなど、
ブレードランナー登場以来、全世界全てのSF及びフィクションが様変わりするほどの…そして今尚多大な影響を見せつけるカルト的SF映画です。

ブレードランナーの詳しいレビューはこちらから

難解映画『ブレードランナー』を紐解こう!

さて、難解と言われるブレードランナーですが、そもそも何故難解なのか…という点を挙げていきましょう。

  • 1. セリフが非常に少ない
  • 2. 事件の背景などが全て語られない
  • 3. 舞台設定が(当時にしては)特徴的過ぎる
  • 4. ラストシーンの動機が謎
  •  
    恐らくこんなところかと思います。

    初めて見る人の大半は映像に圧倒されて物語が頭に入りにくいというのもありますが、
    ハリウッド映画にありがちな説明的なシーンや、セリフでの解説がほとんど見られない為、
    何が起こっているのかわからなくなっているというのが大よそでしょう。

    3に至っては、公開当時~ごく最近までAI社会など想像がつかない時代だったことが言えると思います。
    ロボットが社会に普及しだしている今、ようやく理解出るようになってきたのではないでしょうか。

    また、ソフト化されるに当たって、内容に加筆がされている為、余計にこれが加速してしまいました。
    バージョン違いによる謎。
    しかし、根本が変わっているわけではありません。
    これらを紐解いてしまいましょう。

    さて、ここからは大幅にネタバレを含みます。
    知りたくない方は本編を先にご覧になってくださいね。

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    サルでもわかるブレードランナー

    まず、いきなりストーリーの解説からいきます。

    SF映画だのなんだのと言っていますが、この映画はただの”刑事モノ”です。
    刑事が犯人を追い詰めて倒す…という当たり前の刑事モノ。
    それが未来という舞台なだけです。

    この物語を1行でまとめると…

      デッカードという警察官が、人間に歯向かった人造人間を殺すために戦う物語。

     

    どうです?無茶苦茶単純でしょう?
    では、3行にするとどうなるか―

      デッカードという警察官が、人間に歯向かった人造人間を殺すために戦う。
      しかし、人造人間は心を持ってしまい、終いには人造人間の女性を愛してしまう。
      人と機械の区別とは―という未来で起こりうる機械文明社会に対するメッセージを発信する映画。

     

    どうですか?
    これを見たアナタは、もうこの映画が難解ではないことに気が付いたことでしょう。
    では、それを踏まえたうえで、ブレードランナーの物語を更に掘り下げていきます。

    サルでもわかるブレードランナーの物語

    21世紀、レプリカントという人造人間が、人間の道具として重労働や戦争、慰安目的などに使われました。
    しかし、その人造人間はただの人形であるはずなのにもかかわらず、心を持ち始めます。
    人間に道具…奴隷としてこき使われるのに見切りをつけたレプリカントは、人間相手に反乱を起こします。
    これが人間vsレプリカントの背景です。

    外見では人間との区別がつかないレプリカントは、人間社会に溶け込み、反乱を続けたり共存しようとします。
    しかし、人間にとっては脅威となりかねません。
    そこで、警察は”ブレードランナー”という対レプリカント掃討部門を設立し、主人公のデッカードもそこに所属します。
    簡単に言えばこの世界のスーパーマンです。彼らは人類を守るためにロボット(人造人間)を倒すのです。

    序盤、特捜本部に連行されたレプリカント(以後レプリ)と思わしき人物”リオン”を尋問中、そのレプリに銃撃されてしまいます。
    彼は現役のブレードランナーでした。
    その代りを務める為、退役していた元凄腕ブレードランナー、デッカードに指名が掛かります。

    今回の事件は、6人のレプリが逃走した事から始まります。
    レプリには”安全装置”として4年間の寿命が植え付けられていました。
    彼ら逃走レプリの最終目的はこの寿命を延ばす方法を探す事でした。

    6人中2人は、製造元の企業に強引に押し入った結果、物語開始時に既に殺されていました。
    残る4人も、逃走したレプリは軍用だったりとどれもハイスペックであり、並みのブレードランナーや警察では対処できないことが予想されました。
    尋問中に捜査官を攻撃したレプリもこの内の一人だったのです。
    それらを阻止・始末するために凄腕デッカードは雇われ、捜査を開始します。

    まず、製造元である企業「タイレル社」に赴き、情報を得ますが、
    そこで一人の美人秘書”レイチェル”に出会います。
    社長は彼女をテストし、人造人間と人間の区別が本当にできるのか―という挑戦を仕掛けます。

    判別テストは、人間の感情を刺激し、特に…同情心や共感性、慈愛など、
    人が持ち得る「かわいそう」や「悲しそう」など、心痛みがわかるかどうかというテスト。
    それにより、感情を持たないロボットは共感できずに引っかかる…という内容になっているわけです。

    話を戻します。
    テストの結果、レイチェルはレプリカントでした。
    社長曰く、新型で最も人間に近いレプリカント。恐らく彼女はその試作品でしょう。
    デッカードも、テストに苦戦を強いられ、ようやく見抜いたほどです。
    レイチェルには人が持ち得る過去の記憶を植え付けてあり、それにより人と同じ感情を得るまでに至ったのです。
    彼女はまぎれもなく人間に近かった…いや、人間そのものだったのです。

    一方、逃走した4人は潜伏したり、
    寿命を延ばすべく、製造元を訪れて”何とかするように”と脅迫していきます。

    その頃デッカードは、レイチェルに問い詰められます。
    自分はレプリなのか?私はレプリではない!と…。
    彼女は自分をまぎれもない人間だと思っていたのです。
    彼女はショックを受け、デッカードの前から…そしてタイレル社から去ってしまいます。
    レプリを殺すはずのデッカードは彼女に同情してしまい、妙に彼女の事が気になりだします。
    が、食事に誘うも振られてしまいます。

    証拠を追うウチに、一人の居場所を特定。目標は女性型レプリ”ゾーラ”でした。
    潜伏先のストリップバーに訪れると、デッカードは殴り倒されレプリは逃走してしまいます。
    すかさず後を追うデッカードは、彼女を追い詰め背後から射殺します。
    丁度その場に居合わせたリオンは、仲間が殺されたことで怒ります。
    デッカードはリオンに殺されそうになりますが、リオンは背後から頭を撃ち抜かれます。
    なんと、そこには食事に誘い断られたはずのレイチェルが現れたのです。

    命の恩人”レイチェル”とデッカードは次第に惹かれていきます。
    彼女はレプリカントであるはずなのに、人類に対し矛を向けることもなく、むしろ一人の男を愛し始めます。
    更に、人を救うために同族であるレプリカントをためらいなく撃ったという、ロボットにはないであろう正義感もある彼女…。
    デッカードは今までの価値観がぶち壊されたかのようにレイチェルにどんどん惚れていきます。

    その頃、残る2人となったロイとプリスは、タイレル社の右腕的メカニック、J.F.セバスチャンを脅迫しタイレル社に押し入ります。
    開発者の社長から寿命を延ばすことは不可能であると告げられると、絶望のあまり父親(母親)であるはずの社長とセバスチャンを殺してしまいます。
    親殺しという人としてあってはならない行為をロイはしてしまうのです。

    デッカードはいよいよ2人の居場所を特定し、捜査は最終局面に。
    潜伏先のセバスチャンの家に向かいますが、プリスの不意打ちを食らってしまいます。
    しかし、ためらうことなくデッカードは銃を撃ち、のた打ち回る身体に慈悲もなく銃撃を浴びせます。

    恋人だったプリスを殺されたロイは怒り、デッカードの指を折り、執拗に追い回しながら徐々に痛めつけます。
    もはやデッカードには逃げるしかなく、屋上に出ますが飛び移るのに失敗して転落しそうになってしまいます。
    ロイはデッカードに迫り、彼が転落死する様を見届けようとします――
    が、ロイはなんとデッカードを助けるのです。

    ロイは既に寿命が来ていました。
    その死の淵で、ロイはようやく人の持ち得る情を理解し、情けをかけるという人間的行動に移ったのです。
    彼は最期にとうとう人となって死んでいきました。
    デッカードはここでなにも言いませんが、もしかするとレイチェルの一件から彼の心情を理解しだしたのかもしれません。

    事件を解決したデッカード。
    しかし、タイレル社から無断で逃走したレイチェルも新たな標的となってしまいます。
    特捜はデッカードがレイチェルに同情を見せ始めているのに気が付いていました。
    レイチェルが待つデッカードの自宅に急いで帰り、彼女の無事を確かめます。
    恋人となったレイチェルを守る為にデッカードは、街から逃げることを決意します。
    無慈悲な殺し屋は皮肉にもその対象である機械の為に人生を選択する事になったのです。

    去り際の廊下で、折り紙を発見します。
    それはブレードランナーの上官であるガフがよく折るものでした。
    警察はレイチェルの居場所すら特定していたのです。
    レプリであるレイチェルを逃せば、彼は追われる側になるでしょう。
    デッカードは折り紙をぐしゃぐしゃに丸め、警察との決別を覚悟します。

    機械と人間の区別とは何か?
    心があればあれば機械とて人間。
    心がなければ人とて機械。
    それを安易に語り掛けて物語は幕を閉じるのです。

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    ブレードランナーの舞台設定

    いかがでしたか?
    これがブレードランナーの物語です。

    ね?別に難解じゃないでしょ?
    確かに、メッセージとしてある根底のモノは「人とは何か?」という哲学染みた内容ですが、
    やってる事は全然難しくありません。
    映像で語る為に…セリフや文字として説明していないが為に、難しそうに見えるだけなのです。

    さて、次は舞台設定についてちょっと語っていきます。

    ブレードランナーの舞台は2019年、カリフォルニア。
    しかしそこは華やかな未来とは遠い、退廃的な未来です。
    環境破壊により汚染された地球人類は、既に宇宙にも進出しています。
    酸性雨が降り注ぎ、よどんだ空気の地球。

    宇宙時代となった人類社会は、既に多国籍化しており、
    人種、言葉、文化に至るまでごちゃまぜになっています。
    中でも中華系・アジア系が西洋に溶け込んでいるという異質な空気があります。
    (これは恐らく、公開当時のアメリカが日本企業に支配されていた延長ではないかと思われる)

    更に、新たな労働力としてレプリカントという人造人間が人間が行っていた重労働を肩代わりする感じで社会で普及。
    中でも建設、軍事、慰安などという汚れ仕事を請負(というか道具なので使用)、人間はより高度な労働をしている社会。
    また、環境汚染で生物の大半が死滅したのか、ペット動物などは全て人造のモノに置き換えられている。

    人造人間が人間らしくなった製造過程として、遺伝子工学の発展が挙げられる。
    生体パーツ(というかほぼ生モノ)を使っているので、どうみても人間。
    しかし、その人造人間はほぼ生モノでもやはり機械に変わりないので、異常なパワーを発揮する。
    人を軽々投げ飛ばしたり、一突きでノックアウトさせたり、鉄板を殴ってぺしゃんこにしたり、それでいて平気な顔をしていたり…等。

    補足

    ブレードランナーを難解たらしめる要素の一つに、後付けされたデッカードの設定があります。

    これは、デッカードはレプリカントではないかという設定。
    当初は本当に人間設定だったのですが、監督がこの設定を気に入ったために
    ソフト化された際に追加映像がどんどん追加されていき、跡付けてレプリカントにされてしまった為である。

    デッカードに慈悲がなかったり、
    中々死ななかったり、
    目が光っていたり(カメラの赤目現象)、
    写真を大量に持っていたり(レプリは過去の記憶にすがる傾向がある為)、
    レイチェルから「テストを受けたことあるのか?」と問われたり等…
    それっぽい要素はあったものの、
    後に『デッカードがよく見るユニコーンの夢を、上官であるガフが知ってるような事を暗示させたり』
    といった直接的な要素が次々加えられていきました。
    終いにはエンディングすら変わってしまう始末。
    (公開当時のエンディングはレイチェルと二人で車でどこかに走っていくというポジティブな終わり方)

    1本の話の上にやたらとトッピングが多いものだから、見た客は大事な情報を拾えず混乱するという益々難解かつカルトな作りになってしまった為に、
    未だに難解映画のカテゴライズをされてしまっているのである。

    しかし、本筋は全くと言っていいほど変わっていないので、上記の物語解説を踏まえてみれば間違いなく理解できるはずです。
    大丈夫、100回以上見てる人が解説してんだから!間違いない!

    人とは何か?機械とはなにか?心に重きを置いたSF

    ブレードランナーでは
    人の心の在り方について重点を置いている気がします。

    人間側であるはずのデッカードは慈悲を持ち合わせていません。
    一方レイチェルは、機械なのにも関わらず感情が非常に豊かです。
    デッカードは泣きませんが彼女は泣くのです。

    次にロイの心情。
    軍用ロボットであるはずの彼は慈悲なく人を殺すために開発されたはずです。
    しかし、親殺しの際には非常に苦しそうな表情をしています。
    また、恋人プリスが死んだ際には同様に悲しみ、そして殺した相手に怒りを覚えているのです。
    これは仲間が殺されて怒ったリオンにも言えます。

    彼ら機械の行動は人も起こしていることです。
    親を殺す人もいますし、復讐心から人を殺す事もあります。
    機械だけではありません。

    では、機械と人との境界は何なのか―
    この映画が訴えるものとは、21世紀以後、人類に与えられた普遍的なテーマであり課題なのです。

    昨今、AI開発によりこの問題はより具現化してきました。
    この先、労働ロボットが開発されたとして、それらが感情を持ったとして、
    彼らは人になりうるのか―
    未来の姿を先取りしすぎたテーマだったが為に、人々には理解され難かったのかもしれませんが、
    ようやく時代が追い付いた気がします。

    類似なテーマを扱った映画に『攻殻機動隊』が存在します。
    こちらも難解のレッテルを張られていますが、結局は同じことです。
    どちらのテーマも「機械と人間の違いって何?」ってだけです。

    なお、この映画をよりわかりやすく敵味方で描いたものがターミネーターです。
    ターミネーターは慈悲を持ち合わせていませんが、
    もし彼らに感情があったならば……

    というのがブレードランナーなのですね。
    これで難解映画というカテゴライズからは外れた事でしょう。

    ブレードランナー2049もいよいよ公開です。
    AI社会に突入しそうな今だからこそ、しっかり考えていきましょう!

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