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【フォックスキャッチャー】愛情と嫉妬が生んだ悲劇

J.Stone J.Stone

実話を元にした伝記・サスペンス映画。
レスリングの金メダリストが射殺された事件を映画化しており、
アカデミー賞最有力作品などと謳われた映画を今回はレビューしていこう。

アカデミー有力作品だったフォックスキャッチャー

実話を元にした伝記・サスペンス映画。
アカデミー賞最有力作品などと謳われ、公開時から気になっていたが、ようやく視聴できた。

レスリングの金メダリストが射殺された事件を映画化しており、
そのネタを知っている人には結末が見えてしまうが、
その事件を知らない人には誰が殺されてしまうのか…
また、どうやって事件になっていくのかが徐々に徐々に進行していく。

暗く沈んだ劣等感の物語

トレイラー映像では殺人事件がキーになっているように描かれていたが、
劇中のほとんどは登場人物たちの葛藤がじっくりと陰鬱とした雰囲気で描かれている。

画面は終始暗く、主人公であるマークの顔にも笑顔がない。
言葉で語られないが、表情とレスリングの練習で彼は兄貴を超えられない劣等感に悩まされていることに気づかされる。
彼は兄貴を殺してしまうのか…そんな雰囲気を十分に漂わせながら物語は進むが……この先はネタバレになるのでぜひ視聴してほしい。

アカデミー有力候補というだけあって役者一人一人の表情等の演技力、徐々に狂気に陥っていく展開、BGMの歌詞までもが複線を思わせる構成など、
十分に感じられる作品に仕上がっている。
ただ、トレイラーを見て想像した内容とは少し違っていたのが個人的に残念だった。
殺人事件という題材にもかかわらず、殺人が一向に起こらず、
これは推理モノではないのだという事に気づいたのは中盤頃。
実話を知っていればこんなことにはならないのだが…わからずに見るとちょっと混乱することがあるかもしれない。
それでいても、最後まで緊張感を保たせてしまうのだから相当の完成度であることは言うまでもない。

また、実話を基にしているが故に、脚色も多く、
観終わった後に調べてみると、かなり実際とは食い違うという事が多々ある。
実話と言ってもあくまでも映画なので、真に受けずにフィクションとして観ると良いと思う。

しかし、愛情に餓えた人間の闇は深い…。
やがてそれが歪み、狂気に走ってしまうという心理描写は素晴らしい作品だった。

ツタヤ

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