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英雄本色

【男たちの挽歌】漢の生き様を学べ!香港ノワールの金字塔

J.Stone J.Stone

香港映画の傑作にして、ガンアクション映画の歴史上、最も激しく熱い名作。 警官と犯罪者という2つに分かれてしまった兄弟、漢の友情、裏切り―― 黒社会というマフィアの世界をバイオレンス且つドラマティック、そして豪快に派手にクールに! 20世紀最高のガンアクションをジョン・ウー監督が描く。 そんな映画をレビュー!!

「お前、神を信じるか?」
『信じるさ、俺が神だ。人間こそが神だ。』

香港映画の傑作にして、ガンアクション映画の歴史上、最も激しく熱い名作。
警官と犯罪者という2つに分かれてしまった兄弟、漢の友情、裏切り――
黒社会というマフィアの世界をバイオレンス且つドラマティック、そして豪快に派手にクールに!
20世紀最高のガンアクションをジョン・ウー監督が描く。

原題を“英雄本色”、英題を“A Better Tomorrow”とする本作は、
公開当時、香港版『仁義なき戦い』と異名を付けられるほどの衝撃と感動を世界中に浴びせ、
後の”香港ノワール”と呼ばれる作風の先駆けとなった作品である。
そしてその作風は、現代のアクション映画に多大な影響を与え、アジア映画とアジア文化を西洋に叩きつける一つの鉄槌となったのだ。

今回はそんな名作をレビューしていこう。
その名作の名は――

『男たちの挽歌』

あらすじ

偽札の発行・取引をする闇組織に所属する2人の男。
主人公ホーを、任侠映画のベテラン俳優、”ティ・ロン”が、
相棒マークを今や香港アクションスターとなった、”チョウ・ユンファ”が演じる。

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冒頭から偽札でタバコに火をつける…
このシーンからこの映画が目指す到達点が垣間見える。
「渋い!」、「クール!」、「ワイルド!!」
心の中でこう叫んでいるだろう。そうなったらアナタはもうこの映画の虜だ。

最高に中の良い2組の兄弟がいた。名はホーとマーク。
2人は闇社会で兄弟というべき絆で結ばれた最高のパートナーだった。
そしてもう一方はホーとキット。
兄の”ホー”は闇社会で活躍するマフィアであり犯罪者。
だが、その弟”キット”が警察官という道を歩み始める為、足を洗うことを決意する。
しかし、世の中はそんなに甘くはなかった。
襲撃者が家を襲い、父親が殺される。そこでキットは兄が犯罪者であることを知り愕然とする。
そしてその頃、取引に失敗し刑務所へと送られた主人公ホー。
相棒が逮捕され同じく愕然とするマーク。

出所したホーは弟に会うが、拒絶されてしまう。
そして相棒マークは、ホーのいない間に落ちぶれてしまう。
兄弟同士の和解、そしてもう一方の兄弟同士の友情と挽回、
2つの絆を取り戻し、理想にたどり着くため、3人はもがいていく。

とにかく熱い!これはロックンロールだ!!

さあ、感想書くぞー!
やべぇ…既に興奮してきたァ…!

結論から言おう。最高傑作だ!
これ見て何も感じねぇ奴はタマがねェ!!
ヒャー!!たまんねぇ!!

その面白さは、1度視聴してからすぐさま2回見直し、その月に更に3~4回見直したほどだ。
この映画を見てからというもの、ふすまや植木を見るたびに興奮が収まらないという症状も発症してしまったほどだ。
そして何と言ってもユンファかっけぇ!ロンさんもカッコいいけどユンファ熱い!!
「ユンファってさ~、劇団ひ〇りソックリ~」とか言ってる奴は表に出てこい!(笑)
…いや、確かに似てんだけど、それだからといってかっこよくないとかは全然ない。

ひゃー!興奮しすぎて語弊がどっか逝ったー!

けど、この興奮は既に観た人ならわかってくれるはず。
1時間半ぐらいの上映時間にも関わらず、終始飛び交う弾丸と名台詞の数々。

一見その派手さに隠れがちだが、実は人徳や善でいることの難しさなど、
実は訴えかけてくるモノは非常に大きい。

「(悪から)足を洗うことは簡単じゃない」

人間における善悪もそうだが、一度落ちた闇、どん底から這い上がるのは容易ではない。
折れそうになるロンと、抗い続けるマーク、善であり続けたキットという3人の配置が、
普遍的な人間の苦悩を表している。

また、主人公サイドと敵サイドで描かれる人との絆、信頼、尊敬の違いがはっきり描かれているのも魅力の一つ。
義理と人情と言えばいいのだろうか、人を簡単に裏切るやつは負ける。それが世の中である。

混沌の香港を生きてきたジョン・ウー監督だからこそ描けた映画でもあるのだ。

※監督の誕生した当時の香港は闇社会と一般社会が非常に隣接した位置にあり、
監督自身も闇社会系の人間に脅されたり殴られたりしながらも、善であり続けたという過去をインタビューで語っている。
その不屈の精神こそが挽歌の示す道である。

『人に頭を下げるのはウンザリだ。権力が欲しい訳じゃない失った物を取り戻したいんだ!』

漢は黙って見やがれ!最高の見所

セリフ回し

「お前、神を信じるか?」
『信じるさ、俺が神だ。人間こそが神だ。運命を支配できる』
「でも、運命は思いのままにならない」
『出たとこ勝負さ』

後がない二人がそれぞれ放ったセリフにあるように、絶対的な自信と反骨精神を持ち続けるマークのセリフと、
現実に打たれ、自信をなくしかけている…善悪の境界、ポジティブネガティブの丁度中間に位置するようなロンのセリフ、
そして善であり続けるが故の苦悩を感情むき出しで放つキットのセリフ、
また、裏切りを平気で行う敵キャラのセリフ、その他脇役のちょっとしたセリフなど、
非常に人物の情景を表しながら的確に表現している。

特に主人公ロンを普遍的であり、人口比率の多い中間の位置につけたのがこの映画の成功の秘訣ではないかとみている。
確かに終始目立ちカッコいいのはマークではあるが、マークのような生き方は到底することもできず、
またそのように生きれば破滅が近づくことは間違いないだろう。
その一方でキットもまた、身内にとにかく裏切られたような経験がなければ抱くことのできない感情を背負ったキャラクターである。
それ故にやはり感情移入する先として最も等身大なのはロンなのだ。

英雄本色

以上の事をぶれることなく、かつキレの良さを保ったまま発せられるセリフの数々は、どれも計算し尽くされている。
非常に良質なセリフ回しだと思った。これがまず見所の一つ。

音楽の使い方

作中における音楽の使い方も非常に良い。
確かにベタな使い方かもしれないが、粗削りな作風にはむしろマッチしているように感じた。

まずこの料亭の曲。

免失志という台湾ではお馴染みの歌謡曲だそうだが、
この繁華街で流れるような歌謡曲から一転してシリアスな音楽へと変わり、場面転換を明確に示す。
それがこれだ。

マークのキメや、緊張を漂わせるシーンで使われてきたこの曲は
挽歌の為に作られた曲ではない。
元々はBirdyというベトナム戦争を題材とした映画のサントラなのだが、
香港映画お馴染みの借用という形で使われている。

作曲したのはプログレミュージシャンのピーター・ガブリエル。
ジェネシスやUKなんかに参加しているアーティストだ。
そんなプログレテイストな曲が作中で流れるわけだから、
おっ!という感じに展開の変化が予想できる構成になっている。

そしてこの曲。
一転してポジティブさが感じられる。
やる気に満ち溢れたエネルギッシュな曲だ。

このように曲で心理描写と背景をしっかり描き切っている。
香港映画特有の粗削りな展開、ちょっと雑な演出を、曲で見事にカバーしきっている。

二丁拳銃のガンアクション

何と言ってもこれが醍醐味だろう。
拳銃を全弾撃ち尽くしては銃ごと捨てて新しい銃で再び撃ちまくる―。
サブマシンガンと拳銃を両手に持ち、敵陣にかち込む。
ジョン・ウー映画の代名詞、いや、アクション映画すべての代名詞となった先駆けだ。
この影響は計り知れない。

ケツさわり、植木、ふすまからの二丁拳銃。
二丁拳銃はロマン!!

また、マガジンの残弾数関係なくぶっ放す豪快っぷりも
魅力の一つかもしれない。

「弾どんだけ出るんだよ!」

という野暮なツッコミはなしにしよう。

影響を与えた後続作品たち

この映画は後の作品に多大な影響を及ぼした。
その影響先を見ていこう。

ブラックラグーン


広江礼威氏の描く、人気ガンアクション漫画作品。
二丁拳銃を用いた派手なガンアクション、アジアを舞台にしたマフィア同士の抗争、セリフ回しなど、
香港ノワール臭プンプンの一作だ。
タバコを吸うシーンなんかはもうこの映画意識しまくってる感満載でそそられる。

カウボーイビバップ


数々の香港映画から影響を受けているが、その中の一つが挽歌であることは間違いないだろう。
一見ブルース・リーやジャッキー・チェンなどのカンフー映画を匂わせてはいるが、
その背景とキャラクター配置、そして銃を握ればやはり挽歌の香りがしてくる。
二丁拳銃のガンアクションはもちろんの事、キザっぽいセリフ回し、そしてやはり中華系闇組織の存在。
劇中にも中華系の舞台が多々登場し、それを匂わせる。
また、被弾してもなお生き延びるしぶとさの演出など、モロに香港映画に影響を感じる。
特に、最終回は挽歌IIのまんまオマージュであることは周知のとおりだろう。

レザボアドッグス


ハーヴェイ・カイテルが二丁拳銃を用いるシーンがあるが、
これも相当影響受けてる様子。
内容もクライムバイオレンスだし、タランティーノ自体が香港映画マニアであり、
更には欧米諸国への配給を自社でやっているとかなんとか。

マトリックス


お前らも二丁拳銃使ってんのかよ!(笑)
リロードをせず銃ごと捨てるというシーンも間違いなく影響大。

ラストマンスタンディング


また二丁拳銃かよ!!
無理やり挽歌的なアレねじ込んだだろ(笑)

ブルース・ウィリス演じる主人公が使用するのはM1911A1。
これは装弾数7発なのだが…作中でバンバン撃ちまくる。
ジョン・ウー映画並みに四次元マガジン使ってますやん(笑)

デスペラード


だからまた二丁拳銃!
キリがねぇ!!!(笑)

とにかく二丁拳銃は代名詞!
どいつもこいつもユンファ撃ちマネしやがって…(笑)

かくいう私も朝布団から起き上がる時、二丁拳銃を構え、
ドアをスーっと開けて二丁拳銃をかましてから顔を洗うというのが日課になっている――ジョン・ウー症候群の一人なわけだが…。

そりゃしたくなるんだよ!!

植木あったら銃隠すだろォ!
ふすま開けてから銃構えるだろォ!
机に脚乗っけて酒かけるシーンマネするだろォ!
神社で「俺が神だ、人間こそが神だ」ってやるだろォ!
あと、料亭襲撃する時の曲、歌うだろォ!

なんでもいいからとにかく観とけ!あと植木置け!

いかがだったでしょうか。
終始興奮しっぱなしのアクション映画。
実はそれってそんなになかったりするんですが、これは名作中の名作です。

えー、アジア映画でしょ?とか思ったそこのアナタ。
アジア映画も舐めたらあきまへんでー!

ちなみに、男たちの挽歌。
なんと続編もございます!

いずれそちらの方もレビュー書いていきますのでご期待ください。
そちらでは更に暴走するかもしれません。

そして私は今日もドアを開ける時、二丁拳銃を構えるのだった。

皆さんも良き映画ライフを!
 

ツタヤ

※登場した銃器まとめ

●拳銃

S&W M10
S&W M28
S&W M39
ベレッタM92F
コルトM1911A1
コルトパイソン
FN ブローニング・ハイパワー

●サブマシンガン

H&K MP5A3
IMI Mini Uzi
MAC-10

●アサルトライフル

M16A1

●ショットガン

レミントンM870

邦題・英題男たちの挽歌
評価点数★★★★★
監督ジョン・ウー
ジャンルガンアクション/クライム・バイオレンス
公開年数1986
上映時間95分
前後作次作:男たちの挽歌 II
受賞歴第6回香港電影金像奨最優秀作品賞・最優秀主演男優賞(チョウ・ユンファ)、第23回金馬奨最優秀監督賞等。

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